2Dアバターを自分で制作する ~Live2D~


『FaceRig』で使用できる2Dアバターを『Live2D』で制作する手順の解説です。

すでにネット上には優れた解説や動画等がたくさんありますので、
ここでは基礎の部分はおさらい程度に流しつつ、
管理人自身が制作で気付いた点や注意したい点に
よりフォーカスしてメモを進めていきたいと思います。



=================================================================

■ 全体の流れと必要なもの ■

制作にあたっての全体の流れは、以下のようになります。

-----------------------------------------------------------------------------------------

(1)キャラクターのイラストを作成する(※PSDが扱える画像加工ソフトが必要です)
(2)Live2Dモーフィング/画像変化の設定をパラメータ毎に組み込む
  (※Live2Dのエディターソフトが必要です)
(3)FaceRigで使用するために「mocファイル」に書き出す
(4)FaceRigにmocファイルを組み込む

-----------------------------------------------------------------------------------------

上記の一連の流れについては、
管理人も大変参考にさせていただいた maruchu さんの動画が本当にわかりやすいので、
ご本人の許可を得て貼らせていただくことにしました。
(maruchuさんありがとうございます!)




(ご投稿されたのが2016年1月なのでバージョン情報などがやや古くなってはいますが、
 基本の流れは今でも同様です)



以下は、各項目ごとの注意点をまとめたいと思います。




(1)キャラクターのイラストを作成する

PSDデータでキャラクター画像を作成します。
各パーツはそれぞれレイヤーで分けておく必要があります。
どのような状態にするのが良いかは、Live2Dサイトからダウンロードできる
テンプレートモデルのPSDデータを参考にしてみてください。

Live2Dサイト テンプレートモデル:
  http://sites.cybernoids.jp/cubism2/templates
2018-03-05_02



ちなみにパーツ分けの際ですが、
「右瞳&左瞳」や「右耳&左耳」などパーツが分離して繋がっていない左右対称のパーツは、
まとめて1枚のレイヤーになっていても、Live2Dソフトへの読み込み時に自動的に分割してくれるようです。
※20180410追記:Live2DCubism3.1では自動分割はありません。
(情報をいただき、その後確認しました)



また、モデルとなる画像を用意する際には、
あまりサイズが大きすぎたり小さすぎたりするものは避けたほうが綺麗に仕上がります。

キャラクターで使用するすべてのパーツをばらして重ならないように再配置した
「テクスチャ」と呼ばれるPNGファイルのシートが最終的に書き出されるのですが、
使用可能なテクスチャPNGファイルのサイズは最大「2048*2048」pxまでとなっていますので、
原画作成時は「原寸~大きくてもその倍くらいの「4000*4000」px程度」のサイズが
適していると思います。


ちなみに、管理人のこれまでの制作体験談になりますが、
「全身」が含まれる(かつ頭身が高い)モデルを作成した際に
テクスチャサイズ内に全身を収めるために画像圧縮が強くかかってしまい、
せっかく高画質で作成した画像がかなりボヤッとして劣化してしまった…という
経験があります。

↓その時のテクスチャ(25%縮小)
 首から下の立ち絵を2048pxの範囲に収めるため、頭部の面積がかなり小さくなっています。
 余白もずいぶんと無駄にしてしまっています。


texture_fes


↓最近制作した分のテクスチャ(25%縮小)
 頭部が充分大きいので、FaceRigの画面で見たときにも上のモデルよりかなり高精細です

texture_uni


FaceRigでは、慣れない間はモデルの胸から下を省略したほうが、
綺麗な画質を保ちやすいかとおもいます。
(※Live2Dの設定や機能に充分慣れて使いこなせれば、
  全身があり、かつ、頭部の画質もある程度綺麗というモデルを制作することは可能です)



(2)Live2Dモーフィング/画像変化の設定をパラメータ毎に組み込む

キャラクターイラストのPSDデータを
Live2Dの「テンプレートを適用」機能で読み込ませ、
パーツごとにモーフィングを設定していきます。

2018-03-05_06


Live2Dの使い方については、
公式の解説動画「Live2D Cubism 3 公式チュートリアル」が
私は一番わかりやすかったです。

Live2D Cubism 3 公式チュートリアル:

他にも、探すとたくさんの解説動画がありますので、
自分のやりたい行程に合わせて動画をチョイスして見ていくのが良いかと思います。



★Live2D Cubism のバージョンについて★

Live2Dソフトには、最新版の「Cubism 3.1」と旧バージョンである「Cubism 2.1」が
公式サイトからダウンロードできます(体験版はいずれも無料です)。
どちらを使ってもFaceRigで使用できるモデルを作成することが可能ですが、
ソフトの仕様がかなり違うため、制作上で注意すべき箇所がそれぞれ違ってきますので、
「2.1」「3.1」それぞれを使用した場合のメリットと注意点を下記にまとめます。


◆最新版の「Cubism3.1」を使う場合◆
<メリット>
 ・最新版なので、ツールがとても使いやすく進化している。
 ・公式のチュートリアル動画等が充実。技術的なケアを得やすい。
 ・テクスチャ上に展開された各パーツを後から並べ直すことができる。
<注意点>
 ・3.1にしか搭載されていない機能はFaceRigに反映されない。
  (具体的には「グルー機能」や「3.1版で設定された物理演算」など)
 ・テクスチャのPNGシートをダイレクトに差し替えることができない。
 ・moc書き出しの前に「モデルのIDを変換」を「2.1」に設定して行う必要がある。(!重要!)

※現在、FaceRig制作元の HolotechStudios は Live2D Cubism 3.1 への対応を準備中とのことです
2018/03/04時点)。
※20180410追記:Live2D Cubism 3.1 への対応は2018/03/06に実装されました。



◆旧版の「Cubism2.1」を使う場合◆
<メリット>
 ・FaceRigの対応バージョンと同じバージョンのため、
  「2.1」で作成したモデルは原因不明な読み込みエラーが起こりにくい。
 ・テクスチャのPNGシートそのものをダイレクトに差し替えることができる。
<注意点>
 ・現在公式でDLできるのは機能制限のかかったお試し無料版のみなので、
  モデルのパラメータ数等に制限がある
 (※複雑なモデルは作りにくいですが、普通に動かす分には充分です) 
 ・公式のチュートリアル動画は3.1のほうが充実しているので、
  参考にする際にツールの違いを置き換えながら学ぶ必要がある。



ちなみに、管理人は「2.1」と「3.1」それぞれに
制作上のメリット・デメリットを感じているので、両方合わせて使っています。
特にテクスチャの扱いにおいては、
 3.1「テクスチャ上に展開された各パーツを後から並べ直すことができる」
 2.1「テクスチャのPNGシートそのものをダイレクトに差し替えることができる」
の両方をよく活用しますので、
やりたい作業に合わせて「2.1」と「3.1」を往復させまくります。


ただ、あまりに往復させていると、テクスチャの読み込みエラー等が起こり
ファイルがおかしくなることなどが頻発しやすくなりますので、
往復させるときは必ず直前のデータのバックアップをとりつつ、
あくまで自己責任で行ってください。
(ここの真似をしたらファイル壊れた、という場合の責任はもてません。ご了承ください)



(3)FaceRigで使用するために「mocファイル」に書き出す

Live2Dデータが出来上がったら、
FaceRigに読み込ませることができる「mocファイル」と呼ばれるデータ形式で
書き出しを行います。

「2.1」と「3.1」どちらを使っている場合でも、
moc書き出しの際には「mocファイル書き出し(2.1用)」を選択する必要があります。
(3.1をお使いの場合は、前項でもあげたとおり
 「モデルのIDを変換」を「2.1」に設定して行うのを忘れないようにしてください)

<モデルのIDを変換>
2018-03-05_01

<mocファイル書き出し>
2018-03-05_03


mocファイルを書き出すと、一つのフォルダの中に収められたファイル群が生成されます。
そのフォルダ全部まとまった状態が今後も必要となりますので、
ファイルを移動/コピーさせるときは必ず、フォルダごと行うようにしてください。

※フォルダの名前は後から変更しても大丈夫ですが、
 中に生成されたファイルの名前を変更すると正常に読み込めなくなりますので、 
 ファイル名は変更しないように注意してください。




(4)FaceRigにmocファイルを組み込む
 (※「2Dアバターを導入する~Live2D Module~」と同じ手順です)

使用したい『FaceRig』用のアバターデータは、下記の階層にある
Objects」フォルダの中に、アバターデータが入ったフォルダごと入れてください。
C:\program Files\Steam\steamapps\common\FaceRig\Mod\VP\PC_CustomData\Objects\

※ 「Objects」フォルダの格納先は、お使いのパソコンのOSバージョンなどによって
「C:\Program\Steam\~」だったり「C:\Program Files(x86)\Steam\~」だったりとまちまちです。
「Steam」のフォルダより下の階層(Steam\steamapps\~~\Objects\ まで)は全く同じになりますので、まずは「Steam」が展開されている格納先を探してみてください。
「Steam」の格納先は、お使いのパソコンのプログラムファイル用フォルダのどこかになりますので、それぞれでご確認ください。

6-001


フォルダを入れた後に『FaceRig』を起動し、アバター変更のボタンを押すと、一覧の中に「?」マークのアイコンが表示されていれば、インポート(取り込み)成功です。
「?」マークのアイコンをクリックすると、先ほど入れたデータのアバターが画面に表示され、FaceRigのアバターとして使えるようになります。